「合唱の演奏会を鑑賞した」
2024.11.25(月)
合唱の演奏会を鑑賞した。
ある楽曲を聴いた時、心地よさより、気持ちがざわざわするような感じを受けた。その曲の中に“不協和音”が含まれていたためだ
“音程を間違えたか”とも思ったが、終了後に合唱経験のある友が教えてくれた。あの作品は、幾つかの音をあえて協和させないで作られており、不協和音は聴く人に“次に何かが起こるぞ”という期待を持たせるのが狙いだ、と
一般的に人々の意見が合わない時にも「不協和音が生じる」と言う。それを解決できるのが一番だが、実際には、そうした時にも折り合いをつけていかねばならないことも多い。だが、そういう状況だからこそ、今までになかった新展開が生まれるチャンスがあるのかもしれない
一方で、気の合う仲間だけで集まり、「不協和音を排除していると『心の弾力性』が衰えていきます」と、統計数理研究所の岡檀特任准教授は指摘する。さまざまな人々と、どう向き合っていくのか。そうした努力が、人間としての奥行きを増す契機となるのだろう
人間の孤立化が進み、何かと不協和音が目立つ現代である。その中にあって、私たちは心と心を結ぶ挑戦を重ねていきたい。それが社会を美しい旋律で潤す力になると信じて。(白)
2024年11月23日 聖教新聞より